
「今」かもしれないし、「まだ」かもしれない。
私にちょうどいい庭の話。
あなたの家の「窓の外」にはどんな景色が広がっていますか?
お庭のことは、家の中が落ち着いてからで。そう言って後回しにしていた場所が、実は一番の癒やしになる。
そのことに気づくのは、暮らしが少しずつ自分たちの手に戻ってきた、今だからこそかもしれません。
焦って作る必要はないけれど、妥協はしたくない。 そんな私たちの世代に「ちょうどいい」暮らしへの投資の話を、 お茶でも飲みながら、ゆっくり聞いていただけたら嬉しいです。

カーテンを開けて過ごすことが、
できなかったあなたへ。
家を建てるとき、私たちは「家の中」のことには情熱を注ぎます。 キッチンの高さ、床や壁紙、照明の陰影……。
でも、お庭や外構となると「落ち着いてからでいいよね」と、つい後回しになりがち。私自身のときも、そうでした。
けれど、暮らし始めて数年。ふとした瞬間に気づくのです。
以前、あるお客様がこんなお話をしてくださいました。
「家の中は自分なりにこだわって、お気に入りの家具や雑貨も揃えた。でも、カーテンは閉め切ったまま。外からの視線を気にして閉めていることが多いけど、なんだか家の中に閉じ込められているような感じがしてしまって」
その言葉に、私はとても共感しました。
カーテンを開けて、そこに季節の移ろいを感じる1本の樹があるか、それともただの殺風景な空間があるか。この差は、私たちが想像する以上に、心のゆとりに影響を与えます。
春には柔らかな新緑が目に飛び込み、夏には葉の重なりが涼しげな木陰をつくる。秋には少しずつ色づく葉に季節の歩みを知り、冬には凛とした枝越しに柔らかな陽光が部屋の奥まで届く。
庭は単なる「家の外側」ではなく、実は私たちの「暮らしの質」を左右する、大切な内側の要素なのです。

「とりあえず」で済ませない。
それが、将来の自分へのギフト。
私たちは、エクステリアやガーデンを、「生活の質(QOL)」に関わるものとして考えています。
たとえば、家族の時間を楽しくする庭。
たとえば、仕事から帰ってきた時にほっとする玄関。
それは、健康、安心や安全、そして心の豊かさに直結する「暮らしの基盤」です。
とはいえ、すべての方に「今すぐ」なんてオススメするつもりはありません。 家計のタイミングや、お子さんの成長、住まいの変化……。人生にはそれぞれのリズムがありますから。
でも、もしあなたが今、「そろそろ暮らしを整えたいな」と感じているのなら。 私は少しだけお節介を焼いて、こうお伝えしたいのです。
「安く済ませること」よりも、「正しく選ぶこと」を大切にしてみてほしい、と。
「家を建てたとき、予算重視で『とりあえず』で安く済ませたら、数年で劣化が目立ってきて、愛着が持てなくなって……」という寂しいお声をよく耳にします。これ、本当にもったいないですよね。結局、数年後のやり直しや余計な出費を招いてしまいます。
何より、「せっかくの我が家なのに、なんだか好きになれない」という数年間を過ごすこと。その心のコストこそ、一番の損失かもしれません。
大人になった今の私たちに必要なのは、ただの消費ではなく「暮らしへの投資」です。
最初から完璧にする必要はありません。 「ここは将来、こうしたい」という計画さえプロと一緒に立てておけば、少しずつ、丁寧に整えていくことだってできるのです。

「今はまだ」という選択も、
賢い大人の正解です。
もし、ここまで読んでくださったあなたが「でも、うちはまだ先かな」と感じたなら、それもまた、立派なひとつの正解です。
暮らしの中で「何を大切にしたいか」がまだ見えていない時期に、無理に形を作らなくてもいい。 「ここをどう使いたいか」「どんな景色を見たいか」——。 それをじっくり考える時間を持つことも、実はとても大切な時間。
でも、もし。
「子供が独立して、ようやく自分たちの時間を持てるようになった」 「家事の合間に、ちょっとだけ外の風を感じてリセットできる場所がほしい」
そんなふうに、自分の中の心地よさの基準がはっきりしたなら、その時こそが、エクステリアやガーデンに手をかけるべき最高のタイミング。
私たちは、ただ外構を「売る」存在ではありません。
あなたの人生がより豊かになるための選択を、一緒に考えるアドバイザーでありたい。 だからこそ、立ち止まる決断も、踏み出す決断も、同じように大切に受け止めたいと思っています。
時には、「今はまだ、その時ではないのではないでしょうか?」とお伝えすることもあるでしょう。
でも、「本当に必要なとき」には、迷わず背中を押せる存在でありたいのです。

外を整えることは、
「生き方」を愛でること。
外の空間を整えるということは、単に家の見た目をきれいにすることではありません。
大げさに聞こえるかもしれませんが、私はそれを「生き方を少しだけ変えること」だと思っています。
朝の光を感じ、風を通し、四季と共に過ごす時間を取り戻すこと。それは、お金をかける価値のある「暮らしの本質」だと思うのです。
もし、あなたの心が「今がその時」と告げているなら。 その直感をどうか大切に。10年後、20年後の自分を振り返ったとき、「あの時、自分たちの心地よさを大切にしてよかった」と思える、最高の贈り物になるはずです。
「本当の贅沢」は、意外とすぐ、窓のすぐ外にあるのかもしれませんよ。
企画・編集:中嶋/黒木

庭と暮らしのジャーナル
暮らしの中の小さな気付きやヒントを綴る読みものシリーズ【庭と暮らしのジャーナル】。庭や緑を入口に、“暮らす”ということを丁寧に見つめる時間をお届けします。
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