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【読みもの】秋の気配を感じたら、お庭でこっそり楽しみたいこと
秋の気配を感じたら、
お庭でこっそり楽しみたいこと。
秋の庭って、なんだか大人にとっての特別だと思うんです。
春の華やかさや夏の勢いとは全く違う、落ち着いた自然の色合いや香りが心に沁みたり。
ふと香る金木犀や、落ち葉が舞う音、そして食欲をそそるほっくりした実り。五感が静かに満たされていくのを感じます。
私自身、忙しい日々の合間に庭に出て「あ、ちょっと涼しくなったな」って感じたときに、ふっと力が抜けるんです。
そんな秋の庭だからこそ味わえる小さな楽しみを、今日はお話ししてみますね。
秋の庭で “風” を楽しむ
庭で「音・香り・動き」を拾い集める
金木犀の香りや、落ち葉がカサカサと転がる音。雲が高く流れていくのをただ眺めていると、子どものころの放課後を思い出したりして。

冬支度を始めた自然のリズムを肌で感じる時間は、心まで澄んでいくよう。

ほんの数分でも、自然に身をゆだねる時間は心を柔らかくしてくれます。
秋の風は、忙しい毎日の中でも、ふっと私たちを季節へ連れ戻してくれますよね。
そんな秋の風を楽しむ、小さなコツをおすそ分けします。

風を「聴く」
葉っぱは種類で音色が違います。
ユーカリやオリーブはカサッと軽やか、モミジやイチョウはわしゃわしゃ賑やか。
もし鉢の配置を変えられるなら、チェアの近くに“好きな音色の葉”を置いてみて。
風鈴のように鳴り物を足さなくても、葉音だけで十分にBGMになります。
風で「香らせる」
香りを感じるには、“風下に座る”のがコツ。
座る位置より少し風上に、金木犀やミント、ローズマリーなど香る植物を。
座った時の鼻の高さ(だいたいテーブル面~胸元あたり)に香りが来るよう、台や鉢スタンドで高さを合わせると感じ方が全然違います。
おすすめの時間帯は朝いちと夕方。涼しくて空気が落ち着くので、香りがふわっとまとまりやすいんです。
風を「見る」
目に見えない風は、揺れるものを置くと一気に存在感が出ます。
背の高いグラス(ススキ、ミューレンベルギア)や、細い枝の低木、軽いファブリックのタッセル。
“揺れ”が生まれると、庭の静けさの中にもリズムが出て、ぼんやり眺める時間が心地よくなります。
風の「通り道」を整える
冷えが気になる日は、チェアの向きを“建物に背を預ける向き”へ。背後の壁が風の直撃をやわらげます。
もう一歩踏み込むなら、場づくりはプロに任せて、ルーバーや植栽で通風を設計してもらうと、季節を通して居心地が安定。
そこにブランケットやマグ、鉢の小移動など暮らしはDIYで微調整。これで居場所が整います。
すぐ試せるルーティン
忙しいときほど「たった数分」の外時間が効きます。
家事の合間に椅子へ“ちょい座り”するだけで、心の緊張がするりと抜けますよ。
・朝の30秒
窓を開けて外気を一口吸う → そのまま空を見上げて雲の速度を数える。
・お昼の15秒
ベンチに座って“葉音”だけを聴く。目は閉じても開けたままでもOK。
・夕暮れ時の15秒
香る鉢を風上へ15cm動かす。ほんの少しの移動で香りの届き方が変わります。
“食”を楽しむ
お庭ご飯は秋がベストシーズン。
秋は、外で食べるごはんがいちばん心地よい季節。
家族だけで囲む温かなランチや、友人を招いてのバーベキュー。大掛かりなものじゃなくても、休日のお昼に庭でスープを温めたり、パンをちぎって食べたり。
家族と一緒に、陽だまりの中でゆっくりごはんを囲むだけで特別な時間になります。

少し冷え込んできたら、小さな焚き火台でお芋を焼くのもおすすめ。
少し肌寒い空気の中で火を熾し、湯気の立つ料理を味わえば、それだけで特別な時間に。

陽だまりランチ
休日の昼下がり、あえて庭でスープを温めてみましょう。
コンロや焚き火台がなくても、卓上コンロや保温ポットで十分。湯気がふわっと立ちのぼるだけで、ただのスープが“外ごはんのごちそう”になります。
パンをちぎって浸しながら食べるだけで、ちょっとした旅先のカフェ気分が味わえて楽しいですよ。
火を囲む夕暮れごはん
日が暮れるのが早くなる季節。
少し肌寒くなったら、小さな焚き火台や七輪の出番です。
炭火でお芋を焼くのもいいし、アルミホイルで包んだきのこやチーズを火にかけるのもおすすめ。
パチパチと燃える音を聞きながら食べると、シンプルな食材が驚くほどごちそうに変わります。
家族と友人、それぞれの楽しみ方
家族時間なら、あえて大掛かりにしないこと。ホットサンドやおにぎりでも、外で食べるだけで子どもや夫婦の会話が自然に弾みます。
友人時間なら、少し遊び心をプラス。ワインやチーズを用意して“ちょっと大人の庭バル”にすれば、気取らないけど記憶に残る時間になります。
食卓を演出する小さな工夫
ランチョンマット代わりにリネンのクロスを一枚。
ポータブルのランタンをひとつ灯すだけで、夕食がぐっといい雰囲気に。
ハーブを摘んで添えると香りのアクセントになり、料理が引き立ちます。
「食器や道具を全部そろえる」のではなく、普段のものを少し外に持ち出すだけで十分なんです。
すぐ試せるルーティン
「ただ庭で食べるだけ」で、日常のごはんが“記念日のようなひととき”になるのが秋の魔法。
忙しい週の合間にこれをすると、不思議と元気が戻ってくるんです。
・朝ごはん
庭で淹れたコーヒーを一口。室内とは違う香り立ちに驚きます。
・お昼ごはん
残りもののスープを温めてお外でランチ。
・夜ごはん
お皿やグラスを持ってお庭のテーブルへ。ランタンにキャンドルを灯して、その灯りの中で食べてみる。
“間”(ま)を楽しむ
何もしない贅沢を庭で。
庭に出ると、「花に水をやらなきゃ」「落ち葉を掃かなきゃ」と、つい何かをしようとしてしまいませんか。
でも実は、庭は“やらない時間”を楽しむ場所でもあるんです。何かしなきゃ、と思わなくても大丈夫。しなければならないことから少し離れて、庭で何もしない時間を持ってみませんか。

大人になると「やらなきゃ」で毎日が埋まりがち。
でも「何かをする」ことばかりが大切じゃなくて、「何もしない」時間こそ心のご褒美。
私もつい身も心もバタバタしてしまうけれど、庭の椅子にちょっと腰かけるだけで「まあ、いっか」と思えるんです。

ただ椅子に腰かけて、ぼんやり風や音に耳を傾ける。
忙しい大人の毎日には、そんな「何もしない時間」こそご褒美なんじゃないかなって思います。

ぼんやり座る時間の効能
ただ椅子に腰かけて、風や音に耳を澄ませる。それだけで、思考が少し整理されたり、呼吸がゆっくりになったり。
実際に医学的にも“ぼーっとする時間”はストレス軽減や創造性アップに効果があると言われているんですよ。
おすすめは、まずは「1分座る」だけ。
忙しいときほど、立ち止まるのが難しいですよね。
そんなときは、ただベンチに腰かけて1分間だけ目を閉じてみる。
これだけで、呼吸が少し整い、頭の中のざわざわが薄らぎます。
五感をひとつだけ意識する
「今日は耳だけ」など、感覚をひとつに絞ると、不思議と時間が濃くなります。
耳だけに集中して、風の音、葉っぱの重なり、鳥の声を聴いてみる。
視線を絞って、雲の流れや、木漏れ日、影のかたちを眺めてみる。
肌の感覚を意識して、風の冷たさや、ひなたの温かさを感じる。
「五感スイッチ」を入れると、心に余白が生まれたり、日常の小さな景色に感動できたりします。
最初は、見るものをひとつに絞ることから始めるのがおすすめ。
「今日は空だけ」「今日は木の枝だけ」と、視線をあえてひとつに絞ってみると、時間の流れがゆるやかに感じられますよ。
雲の形の移り変わりや、枝先の小さな芽ぶきに気づいたとき、心がふっと軽くなるものです。
手を空っぽにしてみる
スマホや本を置いて、手ぶらで座ってみましょう。
手元が空っぽになると、目線や意識が自然と周りに向いて、ちょっとした発見が見えてきます。
たとえば「今年の葉っぱは去年より色づきが早いかも」とか。そんな小さな気づきが、季節を豊かに感じさせてくれます。
小さな習慣にする
・朝じかん
コーヒーを持たずに“手ぶらで1分”座ってみる。
・昼じかん
洗濯物を干した後に空を見上げる。
・夜じかん
庭に出てランタンを灯し、暗闇の音に耳を澄ます。
どれも数十秒からできる、小さな「間」の習慣。無理なく暮らしに組み込めます。
“時”を楽しむ
手を動かして「思い出の時間」をつくる
秋の庭は、ただ眺めるだけでなく「時間をかけて遊ぶ」ことができる季節です。
落ち葉や枝でリースをつくったり、小さな家庭菜園に挑戦したり。
お子さんやお孫さんと一緒に取り組めば、庭が思い出のアルバムの1ページになるはずです。

スマホから少し離れて、手を動かすアナログな時間を持つと、気持ちが整いますよね。
それはきっと、季節と一緒に“自分のリズム”を取り戻しているから。

私も忙しい日々の中で、庭でちょっとしたものを作ったり育てたりする時間に救われています。
ほんの数十分でも、そこにあるのは「ゆっくりとした時間」。それが、心を豊かにしてくれるんです。

落ち葉や枝で小さなアートを
庭に落ちている枝や葉っぱを拾って、リースや小さな飾りを作ってみましょう。
道具はハサミと麻ひもがあれば十分。
玄関やテーブルに飾れば、「あの日の庭」の記憶をそのまま家の中に連れてこられます。
家庭菜園で季節を感じる
難しく考えなくても大丈夫。
プランターで葉物野菜やハーブをひとつ育てるだけで、日々の食卓が少しずつ変わります。
毎日少しずつ大きくなる様子を見ていると、「育てる時間」が暮らしに温度を加えてくれるんです。
デジタルから少し離れて
スマホを置いて、アナログな手仕事に没頭する時間。
編み物やスケッチ、落ち葉のスタンプ遊びなど、特別な道具がなくても始められます。
“夢中になれる時間”は、心のリセットボタンみたいなもの。
家族と一緒に思い出をつくる
お子さんやお孫さんと一緒に枝や葉っぱを集めたり、野菜を収穫したり。
庭がそのまま“遊び場”にも“教室”にもなります。
写真を撮らなくても、その時間そのものがアルバムの1ページになるんですよ。
ちょっとした習慣に
・朝
庭のレタスの葉をちぎって、採れたて野菜のサラダで朝ごはん。
・昼
落ち葉や木の実を3つだけ拾って玄関に飾る。
・夜
一日の終わりに、庭の暗がりを眺めながら日記を書く。
“特別なことをする”のではなく、“日常の一部を庭で行う”。それだけで「時間の質」が変わっていきます。
庭づくり、どう楽しむ?
DIYとプロの使い分け
庭をDIYでつくる楽しみ

庭づくりって「大きな工事をしないとできない」と思われがちですが、実は小さなDIYでも十分楽しめるんです。
材料費だけで済むことも多いので、コストを抑えながら“自分らしさ”を表現できる。
そして何より、「自分の手で仕上げた」という達成感が、庭の景色を特別なものにしてくれます。
DIYのいいところ
コストを抑えられる
ちょっとした材料だけで完成することも多いので、気軽に挑戦できます。
自由にアレンジできる
お気に入りの雑貨や植物を取り入れて、自分らしいお庭が作れます。
“作る楽しみ”がある
植えたり、並べたり、仕上げたり。完成した時の達成感は格別です。
DIYに向いていること
鉢植え・花壇づくり
色とりどりの花を寄せ植えしたり、季節ごとに植え替えたり。
小さな鉢ひとつでも庭の表情が変わります。
小さな家庭菜園
プランターひとつからでもスタートできる家庭菜園。
朝採れのハーブや葉野菜をそのまま食卓に運べると、何とも言えない豊かな気持ちになりますよ。
レンガや砂利でつくる小道
「歩く道」を少し整えるだけで、庭の印象がぐっとおしゃれに。
完成後に歩くたびに気持ちが弾みます。
ガーデンファニチャーや雑貨の設置
ベンチやテーブルを置くと、庭が“居場所”に早変わり。
お気に入りのランタンやクッションをセットして、飲み物を準備すれば、お庭で時間を過ごしたくなります。
季節の寄せ植えやハーブガーデン
季節ごとに表情を変える寄せ植えは、飾るだけで気分転換に。
おもてなしにも効果的です。訪ねてくるお客さんや配達員さんも、ちょっと気分が明るくなりますよね。
庭のDIYは「大掛かりなことをしなきゃ」ではなく、「小さな工夫を積み重ねること」。
その積み重ねが、自分らしい庭の景色をつくっていくんです。
プロに頼りたいお庭のこと

庭づくりはDIYで気軽に楽しめる部分もたくさんあります。
でもやっぱり「ここはプロにお願いしてよかった」と感じる場面もあるんです。
特に基礎や構造が関わる部分は、見た目の美しさはもちろん、安全性や耐久性に直結するから。
プロに任せる理由
仕上がりの美しさと耐久性
基礎工事や構造物は、きちんとした施工でこそ長持ちします。
安全性の確保
水勾配や強度計算など、専門知識が必要な部分はプロの腕に任せるのが一番。
庭全体を大きく変えられる
DIYでは難しい大規模なリフォームも、プロなら一度にデザインできます。
プロならではの工事・演出
ウッドデッキ・テラス・パーゴラなどの構造物
家と庭をつなぐ大切な場所。強度や耐久性を考えるとプロ施工が安心です。
コンクリート舗装・アプローチ工事
毎日歩く場所だからこそ、見た目の美しさと安全性の両立が大切。
擁壁や排水工事など地盤に関わる施工
暮らしの安心に直結する部分。専門知識があるからこそ、長い目で見た安全が確保されます。
樹木の植栽やシンボルツリーの移植
庭の顔になる大きな木は、プロが樹形や根の状態まで見極めて植えてくれます。
照明・電気工事を伴うガーデンライト計画
夜の庭を美しく見せる照明は、電気配線を含むためプロの計画力が欠かせません。
庭は「楽しむ場所」であると同時に、「安心して長く暮らす場所」。
だからこそ、大事な部分はプロの力を借りるのがいちばんなんです。
DIYを楽しみつつ、「ここはプロに任せよう」と線を引く。そのバランスが、庭を長く心地よくしてくれますよ。
ハイブリッドスタイルが
一番人気です。

おすすめしたいのが、DIYとプロ、それぞれの良さをいいとこ取りできる「ハイブリッドスタイル」。
ウッドデッキやテラス、アプローチなど、長く使う場所はプロに任せて安心を確保。
完成したベースに、鉢植えや雑貨、寄せ植えを足していくのは自分の役割。
季節の花を置いたり、ランタンを飾ったりするだけで、日々の気分に合わせて庭が表情を変えてくれます。

この、「場づくりはプロに、暮らしはDIYで」という方法。実はわたしも、これが一番心地いいバランスだと感じています。
庭をつくるのは“完成させること”ではなく、“暮らしに合わせて育てていくこと”。
ベースはしっかり任せて、あとはその時の気分や季節で小さな工夫を。
それが結局、いちばん長く楽しめる庭づくりなんですよね。
あなたの庭に、
どんな時間を描きますか?
庭は、家族のくつろぎの場所であり、自分自身を整える居場所でもあります。
「どんな風に過ごしたいかな?」と想像してみるだけで、庭の景色は少しづつ違って見えてきます。
DIYで気軽に楽しむ工夫もあれば、プロに任せて安心できる部分もある。
その両方をうまく取り入れながら、あなただけの庭を育てていく――それが、本当に豊かな庭づくり、そして暮らしづくりだと思うんです。
一緒にお話しながら、あなたらしい庭のかたちを見つけていきましょう。
企画・編集 竹内/中嶋/黒木