【あの人の庭と暮らし】第2回
Broad tree cafe オーナー:北村樹広さん
タケウチと「庭」を通してつながる人たちの想いをたどりながら、『ウェルネス・ガーデンライフ(庭や緑の空間を活用した、心身ともに豊かな生き方)』についてそれぞれの視点でお話しするコーナー。
今回は、ガレリア内のレストラン《ブロードツリーカフェ》のオーナーで料理人の北村樹広さんにお話を伺いました。
関東から熊本へ。
移住して叶える 人と土地と食をつなぐレストラン。

- 今日はよろしくお願いします。もう4~5年のお付き合いになりますね。
北村さん
「そうですね。ガレリアの敷地内に店を構えたのが2022年です」
- その頃のタケウチは、創業50周年事業として施設のリニューアル計画中でした。出店が決まってからは、施設づくりに関する視察で東京へも一緒に行きましたね。
出店してみていかがですか?
北村さん
「街中から車で15分程度でこれだけの自然がある立地ってなかなかないし、通り沿いなのに車の騒音もほどんどない、自然豊かで落ち着いていて、最高な場所だと思ってます。
お客様も非日常を感じられて、会話もはずむのではないかと。テラス席でペット連れのお客様を迎えることもできるし、隠れ家のような存在感の店で、面白いですね」
- それはよかったです! 初期のころは、施設に来店されるお客様から、「何料理のお店ですか?」とよく聞かれました。
「店名にある『ブロード』には、「とらわれない」「自由奔放」という意味があるんですが、その名の通り、僕はあまりジャンルにとらわれず、気分や季節に合わせて、ジャンルを超えてご提供したいんです。
例えば、今ランチで出してるポークカツレツは洋食、人気のパエリヤ風ごはんはスペイン料理、アクアパッツァはイタリアンですが、この店では熊本の海鮮でとった和風だしをベースにしています。
開放的なガーデンという環境が、こんな風にジャンルを超えた表現を受け止めてくれているのかなとも思いますね」
米や野菜も自らの手で。
美里町ではじめた米づくり。

『Broad tree cafe』外観。隠れ家のような雰囲気で、おひとり様からグループでの貸し切りまで、さまざまなシーンで利用しやすいカジュアルなカフェ・レストラン。テラス席でのランチも人気。
- お店も順調に忙しくされている中、お米作りや野菜づくりにも取り組まれてますよね。どんなきっかけだったんですか?
北村さん
「僕は関東で生まれ育ったんですが、熊本に移住してきたとき人と人のつながりが強い土地柄だと感じて、横のつながりを作りたいと思ったのがはじまりです。
米づくりは店のためにもなるし、何より、この土地にハマって仕事をしている人間だという姿勢を知ってもらうことができるじゃないですか。
米や野菜はもちろん外から仕入れることはできるけど、あえて自分たちの手で時間をかけて面倒を見るということをやってみたいと思って、昨年美里町で米作りを始めました」
- 難しそうなイメージですが、結果はいかがでしたか?
北村さん
「3,000坪の土地で、収量は28俵でした。店で一年間に使うお米をすべてまかなえる以上の量ですね。今お客様にご提供しているメニューのお米は、すべて自分の畑で、農薬を使用せず育てて収穫したものです。
今年は合鴨農法に挑戦してみたいと思ってるんですよね」
- すごい! お店の隣地の『ガレリアファーム』では、サラダに使うレタスなども育ててますね。
北村さん
「2025年からガレリアファームの一角を借りて、レタスを中心に葉物野菜を無農薬で育てています。2~3日に1回くらい朝の仕込みの時間に収穫に行ってるんですが、やっぱり全然違いますよ。
成長剤が入っていないから分厚くてシャキシャキで、みずみずしさがしっかり保たれたまま提供できるので、「何でレタスがこんなにおいしいの⁉」って気付いてくださるお客様もいます」

隣地のガレリアファームで元気に育ったレタスの収穫が朝の日課に。

美里町ではじめた米作り。ブロードツリーカフェのごはんはすべて、ここで仲間と一緒に無農薬で育て、自ら収穫したお米が使われている。
料理人としての独立と
夢の環境を叶える移住先での出会い。
- 熊本に移住してこられる前のことや、料理人としてのご経歴も聞いてみたいです。
北村さん
「今年43歳になるんですけど、料理の世界に入ったのは16歳の時です。
母子家庭だったこともあって中学を卒業したら働こうと思っていたんです。どんな仕事をしようか考えたときに、学校の家庭科の授業でパン作りをしたときの思い出が印象的で、パン屋になろうかとも考えて。まぁそこから料理人の道に進んだんですよね。
地元の埼玉から上京して、まず上野の『黒船亭』という洋食レストランで2年働きました。同級生が高校を卒業するタイミングで僕も環境を変えようと思って、次に新宿の『グリル満天星』へ。
その後フレンチを学ぶために、全日空ホテルやフランス大使館でも働いたんですが、外資系ホテルに行ってみないかとお誘いがあって、グランドハイアット東京に移りました。4年半いてスーシェフの役もいただいた後、24歳の時に独立しました」
- 独立後はどんなことをされてたんですか?
北村さん
「料理教室や、出張料理、メディアでのフードコンサルのお仕事もしていました。その時のお客様に熊本の方がいて、月に1度は熊本に仕事しに来てる感じでしたね」
- そこで熊本と縁があったんですね。移住しようと思ったのは?
北村さん
「熊本地震のときに、ボランティアで半年間滞在したんですよね。そのときに友人もできて、『こんなにあたたかい人たちと一緒に、ここで何かしたい』という想いが芽生えたんです。それで移住を決めて、熊本でキッチンカーの営業を始めて5年間県内の各地を回ったんですよ。
出張料理の仕事も熊本で続けていたんですが、そんな中でタケウチの社長とご縁があって、施設内にレストランとして出店しないかとお声掛けいただいたんです」
- キッチンカーの営業を終えて、店という拠点を構えることを決めたのですね。
北村さん
「『自然豊かで、読書している人もいて、景色を眺めながらくつろげる環境で、食事を楽しめる店をつくりたい』という思いがあって、ガレリアならそれがマッチするなと思ったことが一番大きいです。
実はこれは僕自身というより、いつか一緒にやろうと約束していた大事な後輩の夢だったんですよね。もう亡くなってしまったんですが、彼の夢を引き継いで叶えることができるなぁと。これを叶えられれば、天国から応援してくれるかなと思ってね」
熊本という土地の恵みと
関わり続けるライフワーク。

ランチの人気メニュー『大人のお子様プレート』。6時間かけて煮込んだカレールーのとろとろオムカレーや、エビフライ、サイコロステーキまでのった大満足のラインナップ。
- 熊本の土地の恵みを活用して、いろいろなチャンネルやお客様との接点を持とうとされている印象です。レストランもそのひとつの場なんですね。
今後やってみたいことはありますか?
北村さん
「『食育』ですかね。例えば、お客様参加型でお米作りの体験イベントをしたりとか、田んぼの隣の竹林でタケノコ堀りをして、採れたてのタケノコを刺身で食べるイベントをしたりとか……。
ほとんど趣味の一環だけど、ライフワークとしてそんなこともやっていきたいと思ってます。生活のゆとりというか、+αを作っていきたいです」
- まさに『ウェルネス・ガーデンライフ』ですね。
北村さん
「こんな考えが生まれたのも、娘が生まれてからですよ。それまでは仕事ばかりしてましたから。
2歳の娘はたまに店にも来て、ちっちゃい店員さんとして接客もしてくれてます(笑)
ブロードツリーカフェはランチでもディナーでも、お子さま連れを歓迎してます。ちょっとガヤガヤする日もありますが、ガーデンの中のお店ということで、公園でピクニックしてるようなおおらかな気持ちで食事を楽しんでいただきたいです」
企画・編集:黒木
Profile
北村 樹広(きたむら しげひろ)さん

埼玉県出身。16歳から料理の世界へ。グランドハイアット東京のレストランでスーシェフを務め、料理教室やメディアのフードコンサルにも携わったのち、熊本に移住。GALLERIA敷地内《Broad tree cafe》のオーナーシェフ。趣味はバイクでツーリング。
Instagram:@broad.tree.cafe
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【 WEB予約 】 / 096-201-4045
